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【レビュー】「学力」の経済学 著者 中室 牧子

中室牧子 「学力」の経済学

教育書として異例の30万部突破。データー、経済学、心理学の観点から考えた、まったく新しい教育方法。今までダメとされてきた教育方法が覆る。
「ゲームは子どもに悪影響?」
「子どもはほめて育てるべき?」
「勉強させるためにご褒美で釣るのっていけない?」
これが本当に有効なのかなど、科学的根拠で解いていく。

著者 中室牧子のこの本は、こんな人におすすめ

教育する立場の人、経済学&心理学を学びたい人。必見の一冊

著者情報

中室牧子(なかむろ まきこ)

現職
慶應義塾大学総合政策学部准教授
政策・メディア研究科委員
経歴
慶應義塾大学コロンビア大学卒業
日本銀行世界銀行での実務経験あり
この本の目次

第1章 他人の〝成功体験〞はわが子にも活かせるのか?

データは個人の経験に勝る

第2章 子どもを〝ご褒美〞で釣ってはいけないのか?

科学的根拠に基づく子育て

第3章 〝勉強〞は本当にそんなに大切なのか?

人生の成功に重要な非認知能力

第4章 〝少人数学級〞には効果があるのか?

エビデンスなき日本の教育政策

第5章 〝いい先生〞とはどんな先生なのか?

日本の教育に欠けている教員の「質」という概念

レビュー&口コミ リクルートで学んだリーダーになるための77の仕事術

この本のGODレビュー&口コミ

★5
旧態依然とした教育現場に嫌悪感を抱く一人です。「俺はこうしたんだから、お前たちもこうしろ!」といった根性論が多すぎると思いませんか?この本はあらゆる主張にエビデンスがあり、信頼できるものとなっています。以下参考になった点です。
・結果ではなく過程を褒める
例えばテストでいい点を取った子に対し、「頭がいいのね」と褒める。これは元々の能力を褒めている。もし次回悪い点数を取れば、それは「頭が悪い」という誤ったメッセージを発信することに他ならない。「勉強頑張ったのね」といった過程を具体的に褒めて、やる気を引き出す。
・「勉強しなさい」は絶対にやめろ
一日1時間程度ゲームをしても息抜きとしては問題ない。(ほとんど学習時間は増えない、2時間以上は負の効果)
また単純な「勉強しなさい」等の命令は意味がなく、自身が勉強に参加する等の交流がオススメ
アドラー心理学の「課題の分離」にも通ずる(テスト勉強をする事による利益・不利益は子供のため、他者の境界に踏み込まない。May I help you?といった協力の意志を示すだけでいい)
・行き過ぎた平等は格差を拡大させる
家庭の資金に格差がある中で、全ての子供に同じ教育を行えば格差は拡大する。例えばゆとり教育で貧乏な家庭は土日に子供を放置、裕福な家庭は塾に行かせる等。親の学歴によって子供の学習時間に差が開く。

★5
「教育」とは誰しもが一度は経験するために、自分の体験だけを元に語られることがよくあります。
また、現時点での日本の教育施策も、有識者会議という科学的根拠のない話し合いだけで決定されています。
子どもは褒めて育てるべきか?ご褒美で釣るのはよいのか?テレビは見せないほうがいいのか?…
などの教育的な問いに対し筆者は、一個人の体験記ではなく、多量のデータから得られた客観的な数字で根拠を示しながら回答していきます。
教育という成果が目に見えにくい分野で、どのような実験・データの処理を行い客観的な数字を得ているのか、分かりやすく説明されています。
誰しもが携わる「教育」への見方・考え方が大きく変わる本ではないかと思います。

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この本のBADレビュー&口コミ

★1
経済的な視点を教育に入れるとどんな切り込みかたが出来るのか?という点では、面白いが、分析視点が狭い。
この作者自体が学校から離れない、大人になっても学校の中にいたままの立場から、教育を読みといている。
ティーチフォーアメリカは、大企業の若手が2年間等の期間限定で、成果があげられるかどうかの若手自身の能力向上のための制度であり、その効果と、教員全体の教える質が差が余りない。という分析と、教員間の質の格差を比較する辺りにも悪意さえ感じる。 母数も桁違いであり、そもそも大企業の若手が期間限定で、一時期のみという事も無視。
エビデンスという言葉と数値を使えば、いかにそれらしく誤魔化す事が出来るかという典型な本です。
経済のみを第一としたアメリカの教育がどれほど失敗しているか、様々なランキングで確認することができます。アメリカの格差教育は日本の比ではありません。日本の方が教育効果のランキングは上です。

★2
全般的にエビデンスで教育の在り方を語るという手法は、科学的・客観的でありよいと思われる。
しかし、「少人数教育は学力の向上には効果があるが、費用対効果を考えると効果的とは言えない。」など、教育を経済学の損得や経済効率・利益率のように語るのはいかがなものか、と思った。
中室准教授に質問したい。「研究室のゼミ生が、5人の場合と、10人の場合と、20人の場合と、40人の場合とでは、40人の方が、費用対効果が大きいからと言って、毎年ゼミ生を40名受け入れますか?」と聞きたい!!単なる学力と給与の費用対効果ではなくて、教育にはもっと大事なものがあるでしょ!「人格の完成を目指す」という教育の目的が分かっていないのか、と疑いたくなった。

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本のカバー

マンガ版

単行本: 199ページ
出版社: ディスカヴァー・トゥエンティワン
発売日:2015/6/18

「学力」の経済学

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